日本の食生活は伝統的に魚介類や海藻、野菜、大豆製品を多く含み、栄養バランスに優れる面があります。しかし、現代の食習慣の多様化や欧米化に伴い、一部のビタミン・ミネラルで不足が指摘されています。特に若年層の食の簡便化や高齢者の食欲低下などにより、栄養素の摂取不足が起こりやすくなっています。また、日本人は食塩の過剰摂取など偏った栄養摂取もみられ、いわゆる「栄養不良の二重負荷(ダブルバーデン)」への対策も課題です。厚生労働省の「国民健康・栄養調査」や最新研究によれば、カルシウムや鉄、ビタミンD、ビタミンB群、葉酸、ビタミンA、ビタミンC、カリウム、マグネシウム、亜鉛など、多くの栄養素で推奨量に満たない人が一定割合存在します。本分析では、日本人の各ビタミン・ミネラルについて、その必要性、不足による影響、日本における欠乏傾向を最新データに基づき詳述します。また、各栄養素の推奨摂取量(日本人の食事摂取基準2020)や過剰摂取リスクにも触れ、不足を補う対策としてiHerbで入手可能なサプリメント情報にも言及します。
ビタミンA(レチノール)
必要性と働き: ビタミンAは脂溶性ビタミンで、視覚機能(ロドプシンの構成成分)、上皮細胞の健康、免疫機能、成長発達に不可欠です。体内では肝臓に貯蔵され、必要に応じレチノールやレチナール、レチノイン酸などの活性型に変換されます。皮膚や粘膜の維持、感染防御、胎児の正常な発育にも関与します。βカロテンなどのプロビタミンAカロテノイドは小腸で必要量がビタミンAに変換されます。
不足による影響: ビタミンA欠乏症では、暗所で目が見えにくくなる夜盲症が初期症状として現れます。進行すると角膜軟化症や結膜乾燥などの眼病変を生じ、失明に至ることもあります。また上皮組織の角化障害により皮膚や喉、肺、消化管の粘膜抵抗性が低下し、感染症リスクが高まります。小児では成長障害や免疫不全を引き起こします。ただし、日本において臨床的なビタミンA欠乏症(夜盲症など)は稀で、重度欠乏は発展途上国で問題となるケースが多いです。むしろ注意すべきは、軽度の不足でも免疫機能低下などが起こり得る点です。
日本人における欠乏傾向: 日本人のビタミンA摂取量は、伝統的に緑黄色野菜や魚介類を食べる習慣から比較的保たれてきました。しかし近年、野菜摂取量の減少や偏食により所要量を満たさない人もみられます。現代日本人に不足しがちな栄養素の一つにビタミンAが挙げられており、特に若年層で野菜嫌いの人や、極端なダイエットをしている人では摂取不足の傾向があります。日本人成人の食事摂取基準(2020年版)では、ビタミンAの推奨量は男性850~900µgレチノール当量(RAE)/日、女性650~700µgRAE/日と定められています。一方で、20代男性・女性の平均摂取量はこの推奨量を下回る報告もあり、不足気味であることが示唆されています 。特に野菜摂取が少ない人はβカロテン由来のビタミンAが足りず、動物性食品(卵、乳製品、肝臓など)もあまり摂らない場合に不足リスクが高まります。ビタミンAは肝臓に数ヶ月分蓄えられるため、急性の欠乏症状は現れにくいものの、慢性的な低摂取は免疫力低下や肌荒れなどにつながる可能性があります。
過剰摂取のリスク: ビタミンAは脂溶性で体内に蓄積しやすいため、長期に過剰摂取すると中毒症状を起こす恐れがあります。耐容上限量は成人で約2,700~3,000µgRAE/日程度とされ(日本人の食事摂取基準2020)、これを大幅に超える摂取が続くと頭痛、吐き気、肝機能障害、皮膚の剥脱、骨粗鬆症リスク増大、妊娠中の場合は胎児奇形などが報告されています。食品からの過剰症は一般的に起こりにくいですが、動物の肝(シロクマの肝臓など極めてビタミンAが高濃度のもの)を大量に食べた場合や、高単位のサプリメントを常用した場合は注意が必要です。βカロテンなど前駆体由来の場合は、体内で必要量以上はビタミンAに変換されにくいため中毒の心配はほとんどありませんが、喫煙者で高用量βカロテン補給により肺癌リスクが上昇した報告もあり、適量の摂取が望まれます。
食品と補給策: ビタミンAを多く含む食品には、レバー、ウナギ、卵黄、乳製品などの動物性食品(レチノールとして存在)や、人参、カボチャ、ほうれん草などの緑黄色野菜(βカロテンとして存在)があります。日本の伝統食では、肝を食べる習慣は一部(レバーの料理など)ですが、緑黄色野菜やウナギの蒲焼きなどから摂取してきました。摂取不足が懸念される場合、ビタミンAサプリメントの利用も一つの手段です。iHerbで入手可能なサプリメントには、レチノール酢酸エステルやβカロテンを含むマルチビタミン剤があります。ただし過剰症を避けるため、サプリメントで補う場合は用量に注意し、医師や管理栄養士と相談することが重要です。
ビタミンD(カルシフェロール)
必要性と働き: ビタミンDは脂溶性ビタミンで、カルシウムとリンの吸収を助けて骨や歯の健康維持に不可欠です。活性型ビタミンD(カルシトリオール)は小腸や腎臓でカルシウムの吸収・再吸収を促進し、血中カルシウム濃度を適正に保ちます。また、筋力維持や免疫調節作用も注目されています。ビタミンDは食事から摂取するほか、皮膚が日光(紫外線)を浴びることで体内合成される特性があります。
不足による影響: ビタミンDが不足すると、カルシウム吸収率が低下し、血中カルシウム不足を補うため骨からカルシウムが動員されます。その結果、骨密度の低下が起こり、骨軟化症や骨粗鬆症のリスクが高まります。小児期の重度欠乏では骨の石灰化不全によるくる病が発生し、脚の変形や成長障害を招きます。成人でもビタミンD欠乏により骨軟化症(骨が柔らかくなり痛みが出る)が生じます。また近年、ビタミンD不足は筋力低下や免疫力低下、感染症リスク増大との関連も示唆されています。ビタミンDは全身の様々な組織に作用するため、不足すると骨以外にも心血管疾患や糖尿病、うつ症状など多彩な健康影響が懸念されています。ただしこれらについては現在も研究が進められている段階です。
日本人における欠乏傾向: 近年、日本人のビタミンD不足が大きな課題として浮上しています。特に日照時間の少ない冬季や、屋内生活中心の現代人では体内合成が不足しがちです。国民健康・栄養調査(令和元年)によれば、日本人のビタミンDの平均食事摂取量は約6.9µg/日と報告されています。これは食事摂取基準2020で定められた目安量(成人8.5µg/日)より低めであり、食事だけでは十分量に達しにくい状況です。また、血中のビタミンD濃度からみた不足率も深刻です。東京都内で行われた5,518人の調査では、血中25(OH)D濃度30ng/mL以上の「十分な状態」にある人はわずか2%、20~30ng/mLの「不足」が19%、20ng/mL未満の「欠乏」が79%にのぼり、合計98%がビタミンD不足~欠乏状態でした 。特に女性や高齢者で不足が著しく、2000年代の中高生を対象とした研究でも男子約80%・女子約90%がビタミンD不足との報告があります。これらの背景には、日焼けを避ける生活習慣、屋外活動の減少、魚離れ、日照角度の浅い冬季の影響などが考えられます。ビタミンDは食品からの摂取源が限られるため(日常的に食べるものでは魚やきのこ、卵黄くらい)、どうしても不足しやすい栄養素です。近年では骨粗鬆症予防のため、ビタミンDの重要性が再認識され、高齢者を中心に積極的な摂取が推奨されています。
過剰摂取のリスク: ビタミンDも脂溶性で体内に蓄積する可能性がありますが、食事や適度な日光浴では過剰症の心配はまずありません。ただしサプリメントや医薬品として過剰に摂取すると高カルシウム血症を引き起こすおそれがあります。耐容上限量は成人で100µg/日(4000IU/日)程度と設定されています。それを大きく超える摂取が続くと、食欲不振、吐き気、多飲多尿、腎臓結石や組織への石灰化などビタミンD中毒症状が現れます。脂溶性ビタミンであるため排泄されにくく、長期間の過剰摂取に注意が必要です。しかし通常の日本の食事だけではビタミンD過剰になることは極めて考えにくく、むしろ不足への対処が課題となっています。
食品と補給策: ビタミンDは魚介類(サケ、サンマ、イワシなどの脂肪の多い魚、魚肝油)、キノコ類(干しシイタケなど日光干ししたもの)、卵黄に含まれます。日本の伝統食では魚からの摂取が主要ですが、食の欧米化で魚摂取量が減少したことも不足の一因です。日光浴も重要で、夏季には直射日光を15~30分程度浴びることで相当量が合成されます。しかし現代では日焼け止め使用や屋内活動で日照不足の人も多いため、iHerbで入手可能なサプリメント(ビタミンD3のソフトジェルやタブレットなど)で補う人も増えています。一般的に1000~2000IU(25~50µg)程度のビタミンD3サプリが利用されています。特に骨密度が低下しがちな高齢者や閉経後女性では、カルシウムとビタミンDを組み合わせた補給が推奨されるケースもあります。サプリメント使用時は過剰症にならない範囲で、医療専門家の指導の下で適切に摂取することが望まれます。
ビタミンE(トコフェロール)
必要性と働き: ビタミンEは強力な抗酸化作用を持つ脂溶性ビタミンで、細胞膜の脂質を過酸化から保護します。α-トコフェロールがヒトで最も活性の高い形式です。生体膜やリポタンパク質中でフリーラジカルから細胞を守り、老化防止や生活習慣病予防に寄与するとされています。また血行を促進し、免疫機能維持にも関与します。さらに近年では、認知症やがん、心血管疾患に対するビタミンEの有用性も研究されています。
不足による影響: 健康な人が通常の食事を摂っている限り、ビタミンEが深刻に欠乏することは稀です。極度の低脂肪食や脂肪吸収不良(例えば膵疾患や肝疾患、吸収不良症候群)でなければ、通常欠乏症は起こりません。重度のビタミンE欠乏では神経障害(末梢神経障害や小脳失調)、筋無力症、溶血性貧血(赤血球膜が脆弱化するため)などが生じます。しかし、日本人一般ではビタミンE欠乏症はほとんど報告されていません。不足ぎみの場合でも自覚症状は出にくく、せいぜい軽い筋力低下や反射低下などがある程度です。むしろビタミンEは潜在的な不足よりも、十分に摂取して抗酸化作用を発揮させ生活習慣病リスクを下げることの方が関心を持たれています。
日本人における欠乏傾向: 日本人の平均的なビタミンE摂取量は、成人男性で7~8mg/日、女性で6~7mg/日程度と推定されており、食事摂取基準2020の目安量(成人男性6.5~7.0mg、女性5.0~6.0mg)は概ね満たしています。伝統的に日本食では植物油を炒め物に使用したり、魚や種実類から摂取したりするため、ビタミンEは比較的足りている傾向です。例えば、和食に多用される菜種油(キャノーラ油)や大豆油にはビタミンEが含まれますし、魚の脂にも含有されています。従って、健常な日本人で重大なビタミンE欠乏状態に陥ることはまれです。ただし、偏った食生活(油脂類を極端に避けるダイエットなど)や消化吸収能力の低下した高齢者では、必要量に届かないケースも考えられます。また成人で目安量を下回る人の割合は大きくありませんが、更年期以降の女性ではビタミンE摂取が血行改善や更年期症状緩和に有用との観点から、摂取を心がける動きもあります。食品で不足分を補えない場合はサプリメントの利用も検討されます。
過剰摂取のリスク: ビタミンEは比較的安全性の高いビタミンですが、過剰な補給(特にサプリメントで数百mg/日以上の長期摂取)により出血傾向(ビタミンK作用への拮抗)や消化器症状などが報告されています。耐容上限量は成人で600~800mg/日程度(α-トコフェロール換算)とされています。それを超えると頭痛、疲労、血液凝固障害などが起こる可能性があります。ただ、通常の食事からこのような高用量に達することはまずないため、サプリメントの過剰摂取にのみ注意が必要です。
食品と補給策: ビタミンEを含む食品は、アーモンドや落花生などのナッツ類、植物油(ひまわり油、コーン油、菜種油など)、アボカド、魚卵(イクラ)、ウナギ、カボチャなど多岐にわたります。日本の一般的な食事でも、これらを適度に食べていれば必要量は確保できます。とりわけ植物油は調理で頻繁に使われるため、ある程度の摂取が見込めます。ビタミンEが不足気味であると感じる場合や抗酸化目的で強化したい場合、iHerbで入手可能なサプリメント(例えばd-αトコフェロールを主成分とする製品)を利用することもあります。一般には1粒あたり100~400IU(45~180mg相当)程度のビタミンEカプセルが市販されています。サプリメントを摂る場合は、他の抗酸化ビタミン(ビタミンCなど)とのバランスや用量に留意し、かつ定められた容量内に留めることが重要です。
ビタミンK(フィロキノン、メナキノン)
必要性と働き: ビタミンKは脂溶性ビタミンで、血液凝固因子の活性化(肝臓でのプロトロンビン合成)に必須です。またオステオカルシンなど骨タンパク質のカルボキシル化にも関与し、骨代謝にも重要な役割を果たします。ビタミンKには植物由来のK1(フィロキノン)と腸内細菌や発酵食品由来のK2(メナキノン類)があります。日本人は納豆などの発酵食品からもK2を摂取しています。新生児は腸内細菌が未成熟なためビタミンK欠乏性出血症を起こしやすく、生後すぐにビタミンKシロップを投与するのが標準的医療となっています。
不足による影響: ビタミンKが不足すると血液の凝固に時間がかかり、出血しやすくなります。軽度の欠乏では内出血や鼻血が起こりやすくなる程度ですが、重度になると消化管出血や脳出血など致命的な出血を引き起こすこともあります。新生児では頭蓋内出血の原因となり得るため注意が必要です。また慢性的なビタミンK不足は骨質の低下を招き、骨折リスクを高める可能性があります。日本人女性高齢者を対象とした研究で、低ビタミンK摂取と骨折率の関連が指摘されたこともあります。ただし、一般の成人で通常の食生活を送っている限り、顕著なビタミンK欠乏症はほとんど見られません。
日本人における欠乏傾向: 日本人は伝統的にビタミンK摂取量が比較的多い傾向にあります。特に納豆にはK2(メナキノン-7)が豊富で、1パック(約50g)で350µg程度ものビタミンKが含まれます。野菜ではほうれん草や小松菜などの緑葉野菜、ブロッコリー、海藻類にもK1が多く含まれています。日本の食事摂取基準2020ではビタミンKの目安量を成人男女とも150µg/日としています。多くの日本人は日常的に野菜や発酵食品を摂取するため、この目安量を満たしています。国民健康・栄養調査にはビタミンKの摂取量が含まれていませんが、食品摂取頻度から推計すると平均摂取量は200µg/日前後と見積もられています。従って、健康な日本人でビタミンKが不足して問題になるケースは少ないです。ただし、食の欧米化で納豆や緑黄色野菜を全く食べない人や、抗生物質の長期服用により腸内細菌からの供給が減少した場合などには、不足の可能性もあります。また高齢者施設などで偏った食事になっている場合には注意が必要です。
過剰摂取のリスク: ビタミンKは毒性が低く、過剰摂取による健康障害はほとんど知られていません。食事や通常のサプリメント使用で耐容上限量を定める必要がないほど安全とされています。ただし、ワルファリンなど抗凝固薬を服用している人はビタミンKの摂取量変動に注意が必要です。これらの薬はビタミンKの働きを阻害して血液をサラサラにするため、急にビタミンKを多量に摂取すると薬効が弱まる可能性があります。そのため、抗凝固療法中の人はビタミンK含有量の多い食品(納豆や青汁など)の摂取を制限されています。
食品と補給策: ビタミンKは食事からの摂取で通常十分に賄えます。納豆、味噌などの発酵大豆食品、緑黄色野菜、海藻類をバランスよく食べることが重要です。特に納豆は日本ならではの優良供給源であり、骨粗鬆症予防の観点からも注目されています。ビタミンKのサプリメントは欧米では骨サポート目的に市販されていますが、日本では単独のビタミンKサプリは少なく、iHerb等ではK2(メナキノン-7)配合のサプリメントが手に入ります。これらは骨の健康維持や血管石灰化予防を謳った製品もあります。ただし、通常は食品から十分摂取できるため、特別な理由(例えば医師の推奨)がない限り、サプリメントでの補給は必須ではありません。
ビタミンB1(チアミン)
必要性と働き: ビタミンB1は水溶性ビタミンB群の一つで、糖質(炭水化物)をエネルギーに変換する際に必要な補酵素(チアミンピロリン酸)として働きます。主にピルビン酸の脱炭酸反応やクエン酸回路に関与し、脳や神経がブドウ糖を利用するのに不可欠です。また神経伝達物質の合成にも関与し、神経系の正常な機能維持にも役立っています。心筋や骨格筋など、高いエネルギー需要のある組織でもビタミンB1が重要です。
不足による影響: ビタミンB1が不足すると、糖質代謝が滞り乳酸など不完全燃焼産物が蓄積します。その結果、疲れやすさ、食欲不振、体重減少などの初期症状が現れます。さらに深刻になると脚気(かっけ)という病態を引き起こします。脚気には、足のしびれ・むくみ・歩行困難など末梢神経障害が主体の「乾性脚気」と、心拡大・浮腫・頻脈・心不全など心臓症状が主体の「湿性脚気」があります。重度の場合、脚気衝心と呼ばれる急性心不全で突然死することもあります。また、アルコール依存症の患者ではビタミンB1欠乏によるウェルニッケ脳症(意識障害や眼球運動障害、運動失調)を発症することがあります。これは適切に治療しないとコルサコフ症候群という記憶障害を残すため、B1不足の重篤な例と言えます。
日本人における欠乏傾向: 日本では明治から大正時代にかけて白米中心の食生活により脚気が国民病となりました。白米は精製の過程で胚芽に含まれるビタミンB1が大半除去されるためです。高木兼寛らの尽力で麦飯の導入などが進み、現在では食生活の多様化により深刻な脚気はほとんど見られなくなりました。現代の日本人のビタミンB1推奨量は成人男性1.4mg/日、女性1.1mg/日(18~49歳の場合)です。エネルギー消費量に比例して必要量が増えるため、活動的な人や炭水化物中心の食事を多く摂る人は多めに必要とされます。国民健康・栄養調査では平均摂取量はおおむねこの推奨量前後ですが、20代女性などでは推奨量を下回る傾向も報告されています。不規則な食生活や過度の炭水化物偏重(例えば主食のみでおかずをほとんど食べないような場合)、あるいはアルコールの過剰摂取(アルコール代謝でビタミンB1が消費され吸収も阻害される)がある人では、潜在的な不足が懸念されます。ただし一般的に日本人のビタミンB1欠乏症は現代ではまれであり、大半は必要量を確保できています。それでも「なんとなく疲れやすい」「だるい」といった症状が長引く場合、軽いB1不足が関与している可能性もあり、食事内容の見直しが有用です。
過剰摂取のリスク: ビタミンB1は水溶性で余剰分は尿中に排泄されるため、過剰症の心配はほとんどありません。非常に高容量を注射投与した場合に痒みなどのアレルギー反応が出ることがありますが、経口摂取では耐容上限量は設定されていません。ただし極端なサプリメント依存は不要です。必要量を大幅に上回る摂取を続けても、それ以上に代謝が促進されるわけではなく、大部分は排泄されます。
食品と補給策: ビタミンB1は豚肉に非常に多く含まれることで知られています。豚ヒレ100gに約0.9mgものB1が含まれ、これは成人女性の1日必要量のほぼ全量に相当します。その他、ウナギ、玄米、豆類(大豆、エンドウ豆)、胚芽米、全粒小麦、ナッツ類、そして海苔などにも含まれます。日本では「疲労には豚肉」と言われることがありますが、これはB1豊富な豚肉が疲労回復に役立つためです。料理では豚の生姜焼きやうな丼、豆ご飯などがB1補給に良いでしょう。食事から十分摂れない場合や、スポーツをしている人・飲酒習慣のある人など消耗が多い場合には、iHerbで入手可能なビタミンB1サプリメント(チアミン塩酸塩やチアミン一硝酸塩を配合)が利用できます。1日当たり50~100mg程度の錠剤が市販されていますが、通常の栄養補給目的であればそれほど高用量は必要なく、マルチビタミン剤に含まれる程度(1~5mg程度)で十分です。サプリメント名称では「ビタミンB1」や「チアミン」と記載されています。エネルギー代謝を円滑にするためにも、日頃から主食・主菜・副菜をバランスよく食べ、ビタミンB1不足にならないよう心がけることが大切です。
ビタミンB2(リボフラビン)
必要性と働き: ビタミンB2は別名リボフラビンと呼ばれる水溶性ビタミンで、体内でフラビン補酵素(FAD, FMN)となりエネルギー代謝に広く関与します。糖質・脂質・タンパク質からエネルギーを産生する過程で不可欠であり、皮膚や粘膜の健康維持、成長促進にも重要です。抗酸化酵素(グルタチオン還元酵素)にも関与し、細胞を酸化ストレスから守る役割もあります。成長期には特に必要量が増え、不足すると発育不良を招きます。
不足による影響: ビタミンB2が不足すると、口角炎(口の端が切れる)、口内炎、舌炎(舌が赤く腫れる)、皮膚炎(脂漏性皮膚炎様の症状として鼻や眉間のあたりの皮膚が赤くなる)など、主に口や皮膚の症状が現れます。目も充血しやすくなり、光に敏感になることもあります。これらは総称して「口角炎・口唇炎症候群」などと呼ばれることもあります。また、ビタミンB2は他のビタミンB群(特にB6やナイアシン)の代謝にも関与するため、B2不足は二次的に他のビタミン利用効率低下を招き得ます。小児で慢性的に不足すると成長障害や発育不全が懸念されます。なお、ビタミンB2欠乏症は単独で起こるよりも、栄養不良全般の中で見られることが多く、他の栄養素欠乏も併発していることが一般的です。
日本人における欠乏傾向: 日本人のビタミンB2推奨量は成人男性1.6mg/日、女性1.2mg/日です。食品ではレバー、牛乳・乳製品、卵、肉、魚、緑黄色野菜などに含まれ、幅広い食品に分布しています。戦後、学校給食で牛乳が導入されたこともあり、慢性的なB2欠乏は以前に比べ減りました。現在の国民健康・栄養調査では、平均摂取量はおおむね推奨量程度かそれ以上となっており、多くの人は必要量を満たしています。例えば乳製品をあまり摂らない人でも、肉や卵、野菜からある程度摂取できるためです。ただし、極端に偏った食事(ジャンクフード中心など)を続けると不足の可能性があります。インスタント食品やスナック菓子ばかりで食事を済ませている若者や、一人暮らし高齢者で食が細くなった場合などは、口内炎が治りにくいなどの症状として現れることがあります。実際、若年女性や高齢男性の一部で推奨量未満のB2摂取が報告されています。ビタミンB2は体内に蓄積しづらく、2~3週間で枯渇するため、毎日の食事から継続して摂ることが必要です。
過剰摂取のリスク: ビタミンB2も水溶性で過剰分は尿中に排泄されます。目立った過剰症は知られておらず、耐容上限量も設定されていません。サプリメント等で大量(数十~百数十mg以上)に摂取すると、尿が蛍光黄色になることがありますが無害です。ただ非常に高用量を摂っても吸収率が低下し、大半は吸収されずに排泄されてしまうため、通常のマルチビタミン程度で十分です。
食品と補給策: レバー(豚レバーなど)はビタミンB2が飛び抜けて豊富で、100gで3mg以上含みます。牛乳やヨーグルトなどの乳製品も主要な供給源で、コップ1杯の牛乳(200mL)に約0.3mg含まれます。卵1個で0.2~0.3mg、納豆1パックで0.3mg、ほうれん草50gで0.1mg程度含有しています。魚ではサバやウナギにも多く、100gで0.3~0.4mgほど摂取できます。こうした食品をバランスよく食べれば不足は防げます。日常的に口内炎に悩まされる人や、ダイエットなどで食事量が少ない人は、iHerbで入手可能なビタミンB2のサプリメントやビタミンBコンプレックスを活用する方法もあります。ビタミンB2単独の錠剤(50mg程度)や、他のビタミンB群と一緒になった製品があり、後者は相乗効果も期待できます。ビタミンB2は光に弱い(分解される)ため、食品の保存では直射日光を避け、サプリメントも光を通さない容器で保管するなどの配慮が必要です。
ナイアシン(ビタミンB3)
必要性と働き: ナイアシンはビタミンB3とも呼ばれ、ニコチン酸とニコチンアミドの総称です。体内では補酵素NAD⁺/NADP⁺の構成成分となり、数百種にも及ぶ酵素反応(エネルギー代謝、アルコール分解、脂質代謝、DNA修復など)に関与します。身体のあらゆる細胞で必要とされるため、生存に不可欠なビタミンです。ナイアシンは必須アミノ酸のトリプトファンから体内合成も可能で、約60mgのトリプトファンから1mgのナイアシン(ナイアシン当量, NE)が合成されます。
不足による影響: ナイアシンが重度に不足するとペラグラという欠乏症を引き起こします。ペラグラの主な症状は「3D」と呼ばれ、Dermatitis(皮膚炎)、Diarrhea(下痢)、Dementia(認知症様症状:痴呆)の三徴が特徴です。具体的には日光暴露部位の対称性皮膚炎(頸まわりにできるカサノベラ項環と呼ばれる皮膚の炎症など)、消化管障害による慢性下痢や口内炎、そして中枢神経障害による記憶障害・錯乱・抑うつなどが現れます。最終的には死に至ることもある深刻な欠乏症です。ただ、ナイアシン欠乏症はトウモロコシ依存の食事をする地域など特殊な状況で発生するもので、日本では過去にも現在にもほとんど見られません。軽度の不足でも食欲不振や倦怠感、頭痛などが起こる可能性はありますが、他の栄養不足に伴って現れることが多いです。
日本人における欠乏傾向: 日本人のナイアシン推奨量は成人男性15mgNE/日、女性11~12mgNE/日と設定されています。日常の食生活において、ナイアシンは肉、魚、豆類、穀類など広範な食品に含まれるため、通常は必要量を満たせています。また前述の通りトリプトファンから体内合成されるため、蛋白質摂取がしっかりしていれば欠乏症は起こりにくい仕組みです。国民健康・栄養調査でも、平均摂取量はおおむね推奨量以上で推移しています。例えば20~40代男性の平均は20mgNE程度、女性でも15mgNE前後との報告があります。これは魚や肉の摂取増加に伴うもので、戦前戦後に比べ現代日本人はナイアシン摂取が十分になっています。そのため日本でナイアシン欠乏症(ペラグラ)は現代ではまず発生しておらず、専門家からも一般人への注意喚起対象にはなっていません。一方でアルコール依存症患者や一部の偏食が極端な人では、複合的栄養失調の中でナイアシンも不足する可能性があります。実際、アルコール多飲者で食事が疎かになっている場合、ペラグラ様の皮膚症状が出た例が海外で報告されています。日本人にとっては、通常の食生活を送る限りナイアシン不足を過度に心配する必要はありませんが、タンパク質も含めバランスの良い食事が基本となります。
過剰摂取のリスク: ナイアシンは水溶性ですが、高用量をサプリメントで摂取すると「ナイアシンフラッシュ」と呼ばれる一過性の皮膚紅潮や灼熱感、かゆみを引き起こすことがあります。特にニコチン酸を50mg以上摂取した場合に顔や上半身が赤くなる現象が知られています。これは末梢血管拡張によるもので一時的であり、ニコチンアミドではほとんど起こりません。長期の過剰摂取では肝障害や高尿酸血症(痛風悪化)が報告されています。日本人の耐容上限量はニコチン酸換算で成人男性35mgNE/日、女性30mgNE/日と設定されています。普通の食事でこの量を超えることはありませんが、脂質異常症の治療目的で高用量ナイアシン(1~3g/日)を用いることがあり、その際は専門医の管理下で行われます。
食品と補給策: ナイアシンは幅広い食品に含まれます。特に多いのは魚類(カツオやマグロの赤身には100gで約20mg)、肉類(鶏むね肉100gに約10mg、豚レバー100gに約15mg)、ピーナッツ100gに約17mgなどです。米や小麦など穀類にも含まれますが、トウモロコシはナイアシンが結合型で吸収されにくく、昔の中南米でペラグラが多発した原因となりました(石灰処理で吸収率を上げる処理をしていなかったため)。日本では米にもある程度含まれる上、おかずからも十分摂れているため問題になりません。よほどの偏食でない限りナイアシン不足は起こらないため、通常サプリメントは必要ありません。ただ、エネルギー産生や皮膚の健康維持のためにマルチビタミン剤を利用する際、一成分として含まれていることは一般的です。iHerbでもナイアシン単独のサプリメント(例えばナイアシンアミド500mg錠など)がありますが、特別な指示がない限り高用量の継続摂取は避けましょう。肌の調子を整えたり、エネルギー代謝を高めるには食事全体の質を上げることが先決です。
ビタミンB6(ピリドキシン)
必要性と働き: ビタミンB6は水溶性ビタミンで、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミンの形で存在します。体内ではピリドキサールリン酸(PLP)に変換され、アミノ酸代謝(トランスアミナーゼ反応)、神経伝達物質合成(セロトニンやドーパミン、GABAなど)、ヘモグロビン合成(アラA合成経路)に関わります。また、グリコーゲンからのブドウ糖放出、ホモシステインの代謝(メチオニン代謝)にも必要です。タンパク質を多く摂るほどB6の必要量も増えるため、高蛋白食ではB6を十分摂らないと代謝が滞ります。
不足による影響: ビタミンB6が不足すると、皮膚炎や口内炎、舌炎といった粘膜症状が生じやすくなります。特に脂漏性皮膚炎に似た皮膚症状や口角炎などはB2欠乏と似ていますが、B6不足でも見られます。また、B6不足では小胞体でのヘモグロビン合成が障害されるため、小球性低色素性の貧血(鉄不足と類似した貧血)が起こることがあります。さらに神経伝達物質合成の低下から、抑うつや神経過敏、痺れなど神経症状が現れる場合もあります。乳幼児では痙攣発作を起こすことも知られています。なお、妊娠期にB6不足となると悪阻(つわり)が重くなるとの説もあり、ビタミンB6療法が行われることがあります。
日本人における欠乏傾向: 日本人のビタミンB6推奨量は成人男性1.4mg/日、女性1.1mg/日です。一般的な食事でこの程度は十分摂取可能ですが、野菜や果物、魚や肉をあまり食べず、主食中心の食事に偏っている人では不足しがちです。国民健康・栄養調査では、平均摂取量はほぼ推奨量と同程度ですが、若年女性や高齢男性の一部で不足傾向が指摘されています 。ビタミンB6はタンパク質含有食品に多い傾向があるため、例えば極端な低タンパクダイエットをしている人などはリスクがあります。現代日本人に不足しがちなビタミン7種の中にもビタミンB6が含まれており、現代食では注意が必要な栄養素の一つです。特に加工食品や外食に偏った食生活では、生鮮食品由来のビタミンB6が不足する可能性があります。一方、妊娠中や授乳中は胎児・乳児への供給のため必要量が増えるため、不足にならないよう葉酸や鉄とともにB6にも留意する必要があります。もっとも、重篤な欠乏症(痙攣や重い貧血など)は稀であり、多くは軽度の不足状態にとどまっています。
過剰摂取のリスク: ビタミンB6を数百mg以上という高用量で長期間摂取すると、感覚神経障害(手足の痺れや歩行障害などのニューロパチー)を引き起こす可能性があります。耐容上限量は成人で40~60mg/日程度と定められており(日本人の食事摂取基準2020)、サプリメントでの補給時は上限を超えないようにします。食品からの摂取で過剰になることはまずありませんが、一部の美容目的サプリなどで100mgを超えるB6を摂っていたケースで末梢神経障害が報告されたことがあります。過剰摂取は摂らなさすぎと同様に問題となり得ますので、適量を心がけることが肝心です。
食品と補給策: ビタミンB6はマグロやカツオなどの赤身魚、鮭、鶏肉、豚レバー、バナナ、じゃがいも、ひよこ豆などに豊富です。例えばマグロ赤身100gに0.8mg、鶏むね肉100gに0.5mg、バナナ1本に0.4mg程度含まれます。これらを組み合わせて食べれば容易に1mg超を確保できます。和食では魚や野菜から、洋食でも肉類から摂取できますが、コンビニ食やインスタント食品中心では不足しやすいです。調理では水に溶けやすいので煮汁ごと摂取する工夫も有効です。栄養バランスに不安がある場合、iHerbで入手可能なビタミンB6サプリメント(ピリドキシン塩酸塩など)を検討しても良いでしょう。市販品では1日あたり10~50mg程度を含むものが多いです。単独でもありますが、他のビタミンBと一緒に摂ることで代謝が効率よく回るため、通常はBコンプレックスの形がおすすめです。サプリを使う際も前述のとおり高容量になりすぎないよう注意し、しびれ等の症状が出た場合は直ちに中止してください。
葉酸(ビタミンB9)
必要性と働き: 葉酸は水溶性ビタミンB群の一種で、DNA合成や細胞増殖に不可欠です。体内ではテトラヒドロ葉酸となり、一炭素単位の転移反応に関与します。赤血球を作る造血作用や、胎児の発育(特に神経管の形成)にとって極めて重要です。妊娠初期に十分な葉酸があることで胎児の神経管閉鎖障害(無脳症や二分脊椎)の発症リスクを大幅に低減できることが知られています。そのため「妊娠前から葉酸をしっかり摂りましょう」という啓発が行われています。
不足による影響: 葉酸が不足すると、DNA合成が滞るため細胞分裂の盛んな組織に障害が出ます。代表的なのが巨赤芽球性貧血で、赤血球の前駆細胞の分裂障害により大きな未熟な赤血球(巨赤芽球)が増え、貧血となります。症状としては疲労感、息切れ、動悸、舌炎などが見られます。また、妊娠初期の葉酸不足は前述の通り胎児の神経管閉鎖障害のリスク因子となります。さらに、葉酸不足は血中ホモシステイン濃度を上昇させ、これが動脈硬化の危険因子になる可能性も指摘されています。その他、消化管粘膜の萎縮による下痢、免疫力低下なども報告されています。なお、ビタミンB12欠乏による貧血と似た症状を呈するため、鑑別が必要です。
日本人における欠乏傾向: 日本人の葉酸推奨量は成人男女とも240µg/日ですが、妊婦では付加量+240µg、授乳婦では+100µgが推奨されています。通常の食事からの平均摂取量は成人で200~300µg程度とされ、推奨量には達しているか達していないか微妙なラインです。特に若い女性では240µgに満たないケースも多く、日常的に野菜不足の人では不足リスクが高いです。日本では2000年以降、妊娠を計画している女性や妊娠の可能性がある女性に対し、食事に加えて1日400µgの合成葉酸(サプリメントや強化食品)を摂取することが厚生労働省から推奨されています。しかしながら、日本は米や小麦への葉酸強化(フォーティフィケーション)を義務化していないため、欧米に比べ妊娠前後の葉酸摂取不足が課題となっています。実際、神経管閉鎖障害の発生率は日本では出生1万人あたり約5~6人と推定され、強化策を導入した欧米より高い水準にあります。これは必ずしも葉酸不足だけの問題ではありませんが、葉酸摂取の改善余地があるとされています。一般成人においても、野菜や果物の摂取量減少により葉酸が不足気味の傾向が指摘されています。特に外食や中食が多い人、偏食の人では潜在的な欠乏に注意が必要です。なお、葉酸は熱に弱く水に溶けやすいため、調理で損失しやすい点にも留意する必要があります。
過剰摂取のリスク: 葉酸自体の毒性は低く、水溶性で過剰分は排泄されますが、合成葉酸を過剰摂取するとビタミンB12欠乏の症状をマスクしてしまう恐れがあります。具体的には、B12欠乏による悪性貧血に対して葉酸を大量投与すると貧血は改善しますが、B12欠乏が続いて神経障害が進行してしまうケースが知られています。そのため耐容上限量が設定されており、日本では成人で1,000µg/日(合成葉酸として)とされています。通常のマルチビタミンや妊婦用サプリの範囲(400~800µg程度/日)であれば問題ないですが、過剰強化食品や複数サプリの併用による過剰摂取に注意が必要です。
食品と補給策: 葉酸は名前の通り「葉物野菜」に多く含まれます。ほうれん草100gに約210µg、ブロッコリー100gで約110µg、アスパラガス4本で約90µgなど、緑黄色野菜に豊富です。またレバー(鶏レバー100gで約1,300µgと非常に高濃度)、納豆1パックで120µg、いちご5粒で約90µg、オレンジ1個で約50µgなど、豆類や果物にも含有されています。これらをまんべんなく摂れば通常は不足しませんが、調理の工夫(生で食べる、スープごと飲む等)もポイントです。妊娠を計画している女性は先述のようにサプリメントでの葉酸補給が推奨されています。iHerbで入手可能な葉酸サプリメントとしては、葉酸400µgを含むマルチビタミンや葉酸単独の錠剤があります。製剤によっては活性型のメチル葉酸塩を用いたものもあります。妊活中・妊娠中の方は厚労省推奨の400µgを目安にサプリを活用するとよいでしょう。ただしサプリだけに頼らず、葉酸以外の栄養(B12や鉄など)も食品からバランス良く摂取することが重要です。
ビタミンB12(コバラミン)
必要性と働き: ビタミンB12はコバルトを含む水溶性ビタミンで、動物性食品にのみ存在します。体内ではメチルコバラミンやアデノシルコバラミンとして働き、葉酸と協働して赤血球の合成やDNA合成に関与します。また、神経細胞の髄鞘形成や維持にも必要で、不足すると神経障害を来します。具体的にはメチオニン合成酵素の補酵素としてホモシステインをメチオニンに変換する反応や、メチルマロニルCoAムターゼの補酵素として奇数鎖脂肪酸の代謝に関与します。
不足による影響: ビタミンB12が不足すると、葉酸不足と同様に巨赤芽球性貧血を引き起こします。症状は極度の疲労、息切れ、動悸、蒼白など貧血症状が中心ですが、B12欠乏ではさらに末梢神経障害(手足のしびれ、歩行困難)や脊髄後索障害(位置覚・振動覚障害)などの神経症状が特徴的です。進行すると記憶障害や認知症様の症状が出る場合もあります。ビタミンB12欠乏の有名な病態に悪性貧血がありますが、これは自己免疫的に胃の内因子が欠乏しB12吸収が障害されることによります。B12は胃で内因子と結合しないと回腸末端から吸収されないため、内因子がないとどんなに食事から摂っても欠乏してしまいます。また菜食主義(厳格なヴィーガン)の人は食事からB12がほとんど得られないため、数年かけて欠乏症になる可能性があります。母体がヴィーガンで母乳栄養のみの乳児にビタミンB12欠乏症が生じたケースもあります。
日本人における欠乏傾向: 日本人のビタミンB12推奨量は成人男女とも2.4µg/日です。魚介類をよく食べる日本人はB12の摂取量が比較的多く、一般成人では欠乏の心配は少ないです。例えばサンマ1尾に約7µg、アサリ10個に約22µg、牛レバー50gに約30µg含まれるなど、動物性食品に豊富です。国民健康・栄養調査でも平均摂取量は推奨量を上回っています 。したがって通常食をしている限り、日本人でビタミンB12欠乏症になる人は非常に少なく 、その多くは内因子欠乏など吸収の問題や、極端な菜食主義によるものです。高齢者では萎縮性胃炎などで胃酸と内因子の分泌が低下し、吸収障害から潜在的なB12不足になる場合があります。実際、健診などで高齢者の一部に血中B12が低値を示す例があり、注意が促されています。またメトホルミン(糖尿病薬)長期服用者でもB12が低下することがあります。こうした特定集団を除けば、日本人全体としてB12不足はまれであり、むしろ葉酸とのバランスに気をつける程度です。日本では穀類への葉酸強化をしていないため、逆にB12欠乏がマスクされにくい環境とも言えます。
過剰摂取のリスク: ビタミンB12は水溶性であり、腎機能が正常なら過剰分は排泄され蓄積しにくいため、毒性は極めて低いです。耐容上限量も設定されていません。経口摂取では安全域が広く、体が必要としない分は吸収率自体が低下します。ただ、一部の人で高用量B12注射によりニキビ様の皮疹が出た報告などがあります。通常のサプリメント使用では過剰症の心配はありません。
食品と補給策: ビタミンB12は魚介類、肉、卵、乳製品など動物性食品に幅広く含まれます。和食では貝類(アサリやシジミのみそ汁など)は非常に効率の良い摂取源です。海苔やテンペなど植物性の発酵食品にB12が含まれる場合もありますが、安定供給源としては不確実です。菜食主義者(ヴィーガン)はB12が不足しやすいので、強化食品(シリアルなど海外ではB12添加がある)や**サプリメント(シアノコバラミンやメチルコバラミンのタブレット)**で補う必要があります。iHerbでもビタミンB12のサプリメントが販売されており、舌下錠やスプレータイプなど吸収を高めた製品もあります。一般的には500~1000µg程度の高容量錠剤が多いですが、これは吸収率が低いためであり、安全性に問題はありません。内因子が不足している悪性貧血の患者では、経口ではなく筋注でB12を補います。総じて、日本人で普通に食事をしている限りB12不足のリスクは低いですが、動物性食品を控えている人や高齢者は年に一度程度血中濃度を確認するのも一案です。
ビタミンC(アスコルビン酸)
必要性と働き: ビタミンCは水溶性ビタミンで、体内の様々な反応に関与する抗酸化物質です。コラーゲン合成に必要な酵素の補因子として働き、皮膚・血管・骨などの結合組織の強度維持に不可欠です。また、抗酸化作用により活性酸素種を除去し、ビタミンEの再生にも関与します。免疫機能を高め、ストレス抵抗性を向上させる効果や、鉄の吸収を促進する作用もあります。さらに神経伝達物質(ノルアドレナリンやセロトニン)の合成にも関与し、代謝面でも広範な役割を果たしています。
不足による影響: ビタミンCが欠乏すると起こる代表的な疾患が壊血病です。壊血病ではコラーゲン合成不全により歯茎からの出血、皮下出血、関節痛、創傷治癒遅延、貧血(出血や鉄吸収低下による)などが見られます。重症では歯が抜け落ち、骨が脆くなり、最終的には死に至ります。歴史的に大航海時代の船乗り達が新鮮な野菜果物を取れず壊血病に苦しんだことは有名です。現在の日本で壊血病になるほど欠乏することはまれですが、潜在的な不足は体調不良の一因となりえます。軽度の不足状態では、疲労しやすい、免疫低下による風邪をひきやすい、肌荒れしやすい、傷が治りにくい、ストレスへの抵抗力低下などが起こる可能性があります。また、喫煙者は非喫煙者に比べてビタミンC消耗が激しく(1日に約35mg余分に必要とされる)、欠乏しやすい人々の一つです。
日本人における欠乏傾向: 日本人のビタミンC推奨量は成人男女とも100mg/日とされています。国民健康・栄養調査による平均摂取量は年代・性別により差がありますが、おおむね100mg前後です。若年男性や高齢男性では100mgを下回る傾向があり、一方で野菜や果物摂取の多い女性では120mg程度摂れている場合もあります。日本人は伝統的に柑橘類(みかん等)や野菜の摂取習慣がありますが、昨今の野菜・果物離れにより不足気味になる人が増えています。特に20代男性では野菜・果物摂取量が低く、推奨量の半分程度しか取れていないというデータもあります。厚労省の調査でも、野菜摂取目標350g/日を達成している人は2割以下と報告されており、ビタミンC不足の潜在的リスクがあります。また、高齢者で食が細くなった方や、偏った食事の方も不足しやすいです。ただし、ビタミンCは多くの市販飲料(栄養ドリンクや清涼飲料)にも添加されているため、意識せずともある程度摂取している場合もあります。総じて壊血病のような深刻な欠乏は稀ですが、慢性的に摂取量が少ない人は免疫力低下や生活習慣病リスク増大といった影響を受けやすい可能性があります。
過剰摂取のリスク: ビタミンCは水溶性で余剰は尿中に排泄されるため、安全域は広いです。耐容上限量は設定されていませんが、一度に数グラムもの大量摂取を行うと一部で下痢や腹痛などの浸透圧性の下痢症状が出ることがあります。また、排泄される過程で尿中シュウ酸が増加し、一部の人では腎結石リスクの増大が懸念されています。しかし通常の食事や一般的なサプリ使用量(1日500~1000mg程度)であれば、健康な成人に有害影響はまずありません。むしろビタミンCは高用量投与で風邪の期間短縮や疲労軽減などの報告もあり、1~2g程度を摂る人もいます。その際は水分を十分取る、分割して摂取するなどの工夫で尿路結石リスクを下げることが推奨されます。
食品と補給策: ビタミンCを豊富に含む食品は、野菜では赤ピーマン(1個で100mg以上)、ブロッコリーや芽キャベツ(50gで50mg前後)、ゴーヤ、じゃがいも(加熱しても30mg/個程度保持)などが挙げられます。果物ではアセロラ、柿、キウイフルーツ(1個で70mg前後)、イチゴ(5粒で約50mg)、オレンジ(1個50mg)などが代表的です。緑茶にもビタミンCが含まれます(ただし熱湯で壊れやすい)。日本では冬にみかんを食べる習慣があり、みかん中サイズ1個で約35mgのビタミンCが摂取できます。こうした食品を組み合わせれば比較的容易に100mgをクリアできますが、忙しかったりして難しい場合はiHerbで入手可能なビタミンCサプリメントも利用できます。ビタミンCのサプリは定番で、500mgや1000mgの錠剤・カプセル、粉末、さらにはタイムリリース型や緩衝化(酸性を弱めたもの)など様々です。ビタミンCは鉄吸収を助けるため、貧血気味の人が鉄剤と一緒に摂ることも推奨されます。なお、一度に大量に摂っても吸収には上限があるため、分けて摂取する方が効率的です。日常的には「緑黄色野菜を毎食」「果物を毎日」に努め、それでも不足する分をサプリで補う形が理想です。
カルシウム(Ca)
必要性と働き: カルシウムは人体に最も多く存在するミネラルで、その約99%が骨や歯に蓄えられ骨格を形成しています。残り1%は血液や細胞内にあり、筋肉の収縮、神経伝達、血液凝固、酵素活性の調節など多彩な生理機能に関与します。血中カルシウム濃度は厳密にコントロールされており、不足すると骨から溶出させてでも一定に保たれます。骨はカルシウムの貯蔵庫であると同時に、体の構造と運動を支える役割を果たします。成長期には十分なカルシウム摂取が骨量の最大値(ピークボーンマス)を高め、その後の骨粗鬆症リスクを下げます。
不足による影響: 慢性的なカルシウム不足は骨量の減少を招きます。若年期に不足すると骨の発達不全、身長の伸び悩みなどが起こりえます。成人でも不足が続けば、骨量減少により骨粗鬆症につながります 。骨粗鬆症になると骨が脆くなり、特に高齢者では脊椎圧迫骨折や大腿骨頸部骨折など重篤な骨折のリスクが高まります。骨折は寝たきりや要介護の原因にもなるため、カルシウム不足による骨粗鬆症予防は健康長寿の観点から非常に重要です。また急激なカルシウム不足(低カルシウム血症)は筋肉の痙攣(テタニー)を引き起こしますが、これは通常はビタミンD不足など病的要因と重なる場合に起きます。歯のエナメル質形成にもカルシウムは重要で、成長期の不足は虫歯リスクを高めます。さらに、カルシウム不足時には神経過敏や高血圧傾向になるという報告もあります。カルシウムと血圧の関連は一部で指摘されていますが、食塩摂取など他因子も絡むため明確ではありません。しかしカルシウムはナトリウム排泄を促し血圧コントロールを助ける作用があり、適切な摂取は高血圧予防にも有益とされています。
日本人における欠乏傾向: カルシウム不足は日本人の栄養問題の中でも昔から指摘されている代表格です。日本人のカルシウム推奨量は成人男性750~800mg/日、女性650mg/日ですが、平均摂取量はそれを大きく下回っています。国民健康・栄養調査では、20歳以上の平均摂取量はおよそ500mg前後と推計され、年代によってはさらに少ないです 。実際、日本人の平均カルシウム摂取量は約550mgと推定され、欧米人より150mg少なく、推奨される量(1日650mg以上、骨粗鬆症予防には800mg)を満たしていません 。特に若年成人で摂取不足が顕著で、20代は全世代で最も少ないとのデータがあります。これは牛乳・乳製品の摂取離れや、小魚を丸ごと食べる機会減少など、食習慣の変化が影響しています。加えて、日本の水は軟水でカルシウム含有量が低いことや、植物性食品由来のカルシウム吸収率が低めなこと(シュウ酸やフィチン酸の存在)も一因です。東京大学の大規模調査でも、カルシウム摂取不足(推定平均必要量以下)の人の割合は全性・年齢階層で29~88%にも及び、全栄養素中で最も不足者が多いことが示されました 。このように日本人の大多数が慢性的カルシウム不足状態にあるため、骨粗鬆症予備群が大量に存在すると懸念されています。特に閉経後女性は女性ホルモン低下で骨量減少が加速するため、若い頃からのカルシウム蓄積が重要です。また高齢者では食が細くなりさらに摂取が落ちる傾向があり、骨粗鬆症の罹患率も非常に高いです。日本は平均寿命が長いため、長期的視点でカルシウム不足対策を講じることが国民健康上急務と言えます。
過剰摂取のリスク: カルシウムを過剰に摂取すると、高カルシウム血症をきたす場合がありますが、通常の食事では考えにくいです。耐容上限量は成人で2,500mg/日とされています(食事からのカルシウムについては問題となる過剰症はまれ)。ただし、サプリメント等で長期間にわたり1日あたり2000mgを超えるような摂取を続けると、高カルシウム血症による消化器症状(便秘、吐き気)や腎結石リスクの増大が懸念されます。また、過剰なカルシウムは鉄や亜鉛など他のミネラルの吸収を妨げる可能性があります。牛乳を1日に1リットル以上飲むような極端なケースではミルクアルカリ症候群(高カルシウム血症、アルカローシス、腎機能障害)を起こすこともあります。したがって、サプリメントで補う場合でも適量に留め、必要に応じ血中カルシウム値をモニターするなどの配慮が必要です。
食品と補給策: カルシウムを含む食品として真っ先に挙がるのは牛乳・乳製品です。牛乳コップ1杯(200mL)で約220mgのカルシウムが取れ、チーズやヨーグルトも良い供給源です。乳糖不耐症で牛乳が苦手な人もヨーグルトなら摂取しやすいでしょう。魚では、小魚(しらす干し大さじ1杯で約50mg、煮干し5~6匹で約250mg)や丸ごと食べられるワカサギ、シシャモなどが有効です。大豆製品では木綿豆腐1/2丁で約120mg、納豆1パックで約90mg、厚揚げ1枚で240mgなどが期待できます。野菜では小松菜1束(200g)で約260mg、モロヘイヤ100gで約150mg含みます。ただし野菜のカルシウムは吸収率が乳製品より低めです。海藻ではヒジキやワカメもカルシウムを含みますが、ずば抜けて多いわけではありません。以上を組み合わせ、牛乳1杯+小魚+野菜+豆腐といった食事で一日700mg程度を目指すことになります。これでも不足が懸念される場合、iHerbで入手可能なカルシウムサプリメントの活用も選択肢です。一般にカルシウムサプリはカルシウムの化合物(炭酸カルシウムやクエン酸カルシウムなど)を500~600mg程度含む錠剤が多く、市販のマルチビタミン&ミネラルにも含有されています。サプリを使用する際はビタミンDやビタミンK、マグネシウムなど骨代謝関連栄養素も同時に摂ることで効率が上がります。日本人のカルシウム不足解消には食生活改善が基本ですが、乳製品の摂れない人などはサプリメントもうまく活用し、骨の健康を維持することが推奨されます。
鉄(Fe)
必要性と働き: 鉄は血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンの構成成分として酸素運搬に不可欠なミネラルです。また筋肉中のミオグロビンや、多くの酵素(シトクロム、カタラーゼなど)の活性中心にも存在し、エネルギー代謝や解毒、免疫など幅広い生命現象に関与します。鉄は体内に約3~4g含まれ、その大部分はヘモグロビン中にあり、残りはフェリチンやヘモシデリンとして肝臓・脾臓・骨髄に貯蔵されています。体内での鉄の利用効率は高度に制御され、不足すると小腸からの吸収が高まり、過剰になると排泄が増えます。しかし排泄調節は限定的で、出血などで失われない限り体外に出にくいため、長期の過剰摂取は蓄積を招きます。
不足による影響: 鉄欠乏は世界的に最も蔓延している栄養欠乏症であり、日本でも例外ではありません。鉄が不足すると、まず体の貯蔵鉄(フェリチン)が減少し、次第に血清鉄が低下、最終的に鉄欠乏性貧血を発症します。鉄欠乏性貧血では赤血球が小さく色が薄い(小球性低色素性)状態となり、酸素運搬能の低下から全身の酸欠状態をきたします。その症状は、疲労感、めまい、動悸、息切れ、顔色不良、易感染性などです。さらに進行すると、スプーンネイル(爪が反り返る)、異食症(氷や土を食べたくなる)など特異な症状が現れることもあります。学童の鉄欠乏は認知・学習能力の低下を引き起こし、妊婦の鉄欠乏は早産や低出生体重児のリスクを高めます。軽度の鉄不足状態(貧血に至らない「潜在性鉄欠乏」)でも、疲れやすさや集中力低下など生活の質に影響することが知られています。特に女性では月経により定期的に鉄が失われるため、慢性的に不足しがちです。
日本人における欠乏傾向: 日本人の鉄推奨量は成人男性7.5mg/日、成人女性(月経あり)10.5mg/日(女性は閉経後6.5mg)と設定されています。しかし実際の平均摂取量は女性でこれを下回ることが多く、鉄不足は日本人女性の栄養問題の中でも深刻です。20~40代女性の約2割が貧血(Hb<12g/dL)と診断される水準にあり、血清フェリチン値でみると実に約40~50%が貯蔵鉄不足(潜在性鉄欠乏)との報告もあります。つまり、日本人女性の半数近くが何らかの鉄欠乏状態にあるわけです。東京大学の調査でも、12~64歳女性の79~95%が鉄の推定平均必要量を下回っているとされ、極めて多くの女性が必要量を満たせていません 。これには月経による持続的鉄損失に加え、ダイエット志向による摂取不足、赤身肉やレバー離れによる食事内容の変化などが影響しています。男性は女性ほど不足しませんが、10代~20代男性で栄養偏差の大きい人では貧血がみられることもあります。また妊娠中は胎児への鉄供給で需要が増大するため、妊婦の約30~40%が貧血になるとも言われています。鉄欠乏は症状が曖昧なため見過ごされがちですが、先述の通りパフォーマンス低下や免疫力低下につながるため、適切なモニタリングと対策が必要です 。地域差では、伝統的に肉食の少なかった日本では欧米よりも女性の貧血割合が高い傾向にあります。若い女性の3人に1人は貯蔵鉄不足(フェリチン低値)、4人に1人が貧血状態との調査結果もあり 、他の先進国と比べても日本人女性の鉄不足は目立っています。
過剰摂取のリスク: 鉄は過剰に摂取すると体内に蓄積し、肝臓や心臓、膵臓などに沈着して臓器障害を引き起こす可能性があります。遺伝性ヘモクロマトーシス(鉄蓄積症)の患者は吸収過剰により中年以降に肝硬変や糖尿病を発症します。また健常者でもサプリメントなどで長期間50~100mg/日以上の鉄を摂り続けると、鉄過剰となり酸化ストレス増大や動脈硬化促進の懸念があります。耐容上限量は成人で40mg/日と設定されています。特に小児は鉄過剰に弱く、誤って大量の鉄剤を摂取すると中毒(嘔吐、下痢、肝不全)を起こすこともあります。食品からの鉄は吸収調節が働くため過剰症は起こりにくいですが、鉄剤の安易な使用は控えるべきです。一方、女性では過剰より不足の方が問題となりますが、閉経後の女性や男性ではむしろ「貧血ではないのにサプリで鉄を取り過ぎない」よう注意が必要です。
食品と補給策: 鉄には動物性食品由来のヘム鉄と、植物性食品由来の非ヘム鉄があります。ヘム鉄は吸収率が高く(約15~25%)、非ヘム鉄は吸収率が低い(2~5%程度)ため、効率よく鉄を摂るにはヘム鉄源が重要です。ヘム鉄を多く含む食品はレバー(豚レバー100gで約13mg)、赤身の肉(牛もも肉100gで約2.5mg)、カツオ・マグロ赤身(100gで約2mg)、イワシ丸干し(1尾で約2mg)などです。非ヘム鉄は小松菜100gで約2.8mg、ほうれん草100gで約2.0mgありますが、吸収率を考えると大量に食べる必要があります。豆類では大豆製品(納豆1パックで1.5mg、絹ごし豆腐1丁で3mg)、レンズ豆やヒヨコ豆なども鉄源になります。卵黄1個に約0.4mgと、卵は鉄源としては中程度です。ビタミンCや動物性たんぱく質と一緒に摂ると非ヘム鉄の吸収が促進されるため、肉と野菜を組み合わせた献立が理想です。日本食ではレバーの調理や赤身魚の活用が鉄補給に有用ですが、現代ではこれらを敬遠する人も多いため工夫が必要です。料理例として、レバニラ炒め、小松菜と牛肉の炒め物、カツオの刺身、シジミのみそ汁(シジミ10個で約3mgの鉄)などが挙げられます。どうしても食事から十分な鉄が取れない場合、鉄サプリメントの使用も検討されます。iHerbでは各種の鉄サプリメント(クエン酸第一鉄やフマル酸第一鉄、ヘム鉄サプリなど)が手に入ります。一般的な鉄剤は1錠あたり18mg程度のものが多く、これは成人女性の日所要量をカバーする量です。鉄剤は胃腸障害(便秘や吐き気)を起こすことがあるため、空腹時を避け少量から試す、胃に優しいクエン酸鉄やヘム鉄製剤を選ぶなどの対策があります。また、カフェインやタンニン(お茶、コーヒー)は鉄吸収を阻害するため、鉄剤服用前後1時間は控えるのが望ましいです。貧血と診断された場合は医師の指導のもと鉄剤治療を行い、改善後も貯蔵鉄が十分に回復するまで継続することが重要です 。女性の場合、生理がある限り鉄との付き合いは一生続くため、日頃から鉄豊富な食材を意識して摂り、隠れ貧血を防ぐよう心がけましょう。
亜鉛(Zn)
必要性と働き: 亜鉛は200以上の酵素の構成成分または補因子として働く必須微量ミネラルです。代表的なものにDNAポリメラーゼ(DNA合成)、アルコール脱水素酵素(アルコール代謝)、アルカリホスファターゼ(骨代謝)などがあり、多岐にわたる生命活動に関与します。亜鉛はまた細胞増殖や分化に必要で、成長発育、生殖機能、免疫機能、味覚や食欲の維持にも重要な役割を果たします。インスリンの結晶構造安定化、活性酸素消去(SOD酵素)などにも寄与し、不足すると多彩な不調が生じます。
不足による影響: 亜鉛が不足した場合、味覚障害(味を感じにくい、金属味がする)、食欲不振が顕著な症状として現れます。このため「味がしない」「おいしく食べられない」という場合に亜鉛不足が疑われます 。他にも皮膚炎や湿疹、脱毛、創傷治癒遅延、免疫不全による感染症反復、男性では精子数減少や性機能低下、子どもの発育不全(低身長)、下痢の慢性化、貧血など様々な症状が報告されています 。重症例では意識障害や抑うつ状態になることもあります。実際、日本でも長期の偏った食事(例えばダイエットやアルコール依存で高カロリー低栄養の食生活)の人に味覚障害がみられ、検査すると亜鉛欠乏症だったという例が増えています。子どもの亜鉛欠乏では成長ホルモンの働きが十分発揮されず、成長障害や思春期遅発が起こることがあります。亜鉛欠乏症は症状が多岐にわたるため見逃されやすいですが、味覚の変化や肌・髪の不調、風邪をひきやすいといったサインには注意が必要です。
日本人における欠乏傾向: 近年の研究で、日本人は潜在的な亜鉛不足者の割合が高いことが明らかになりました 。京都大学の報告では、日本は先進国で唯一、人口の10~30%が亜鉛欠乏状態にあるとされています 。食事摂取基準2020での亜鉛推奨量は成人男性11mg/日、女性8mg/日ですが、実際の平均摂取量は男性で約9mg、女性で約7mg程度に留まっています。特に小児、高齢者、若い女性で不足傾向が強いとされます。例えば偏食の多い子どもや食の細い高齢者、一人暮らしの若年女性などがリスク群です。また、入院患者や慢性疾患患者にも亜鉛欠乏が多くみられ、治療の一環で補充されることがあります。日本人に亜鉛不足が多い理由の一つは、伝統的食事では穀類や野菜中心で亜鉛含有量自体が少なく、吸収阻害因子(フィチン酸など)も多かったことが挙げられます。現代では肉類摂取が増え多少改善しているものの、それでも欧米人に比べ摂取量は低めです 。さらに高齢化により高齢者の摂取不足が今後増える可能性があります 。東京慈恵医大の調査では、入院中の高齢患者の3割以上が亜鉛欠乏と診断されました。一般成人でも、コロナ禍で味覚障害を訴える人の背景に亜鉛不足が潜んでいた例が報告されています。これらを受け、厚労省は亜鉛欠乏症の治療薬(酢酸亜鉛水和物)の保険適用を認め、2022年より処方が可能となりました。国民の栄養状態として、亜鉛は鉄と並び不足気味なミネラルであり、特に男性36.6%、女性33.1%が亜鉛欠乏症患者に該当したとの解析もあります。この数字は広義の潜在的欠乏も含むと考えられますが、決して無視できない割合です。
過剰摂取のリスク: 亜鉛の過剰摂取は、急性では吐き気・嘔吐・腹痛などを招きます。これは一度に数百mgもの金属亜鉛を摂取した場合に起こる症状で、例えば亜鉛メッキされた容器から高濃度亜鉛が溶出した飲料を飲んだ事例などがあります。慢性的過剰では、過度のサプリ摂取により銅の吸収阻害を引き起こし、二次的に銅欠乏性貧血や白血球減少症を来す恐れがあります。耐容上限量は成人で男性45mg/日、女性35mg/日と設定されています。通常の食事でここまで摂ることはなく、問題は高容量サプリメントの長期使用です。筋力増強目的で50mg以上/日の亜鉛を摂って貧血になったケースもあります。また、過剰な亜鉛は鉄やカルシウムの代謝にも影響し得るため、バランスが大事です。安全に利用する上では、1日あたりの摂取量が15mg程度に収まるようにし、必要以上に飲まないことです。
食品と補給策: 亜鉛を多く含む食品は、牡蠣が突出しています(生牡蠣中1個で1~2mg、加熱用牡蠣100gで約13mg)。牡蠣は「海のミルク」と呼ばれるほど栄養豊富で、とりわけ亜鉛は随一です。その他、牛肉(もも100gで約4mg)、豚レバー100gで約6mg、カシューナッツ50gで約3mg、大豆100gで約5mgなどが主要供給源です。魚介ではウナギ(蒲焼100gで約2.7mg)、するめ(10gで0.7mg)など、卵1個で0.5mg程度です。穀類では玄米100gで2mg、小麦胚芽20gで2mg程度含まれます。野菜や果物にはほとんど含まれないため、動物性食品や豆類・種実類から摂取する必要があります。吸収率は動物性食品中の亜鉛の方が高く(約40~50%)、植物性食品中の亜鉛はフィチン酸などにより吸収が阻害されて20%前後とされています。したがって、ベジタリアンは特に注意が必要です。日本食では牡蠣の土手鍋や牛肉のすき焼き、豚レバーの炒め物、納豆、アーモンドなどを組み合わせると良いでしょう。料理の際に酸味(お酢やレモン)を効かせるとフィチン酸の影響を軽減できるとも言われます。亜鉛不足が疑われる場合、亜鉛サプリメントの利用も有効です。iHerbでは亜鉛含有サプリ(グルコン酸亜鉛、ピコリネート亜鉛、酵母由来の亜鉛など)が多く販売されています。1日あたりの含有量は一般に15~30mgが多く、これで不足を効率的に補えます。ただし前述の通り、長期高用量摂取は避け、必要がなくなれば中止するか維持量に減らすことが望ましいです。味覚障害など症状がある場合には、医療機関で血清亜鉛やアルカリホスファターゼ値を測定し、医師の指導で治療することも検討してください。栄養素の中でも亜鉛は不足と過剰の両方に気を遣う必要があるため、**「足りない人は積極的に、十分な人はほどほどに」**というスタンスで取り組むことが大切です。
マグネシウム(Mg)
必要性と働き: マグネシウムは人体で4番目に多いミネラルで、その約60%は骨に存在し、残りは筋肉や軟組織、体液中にあります。300種類以上の酵素反応の補因子として機能し、エネルギー産生(ATPの利用)、タンパク質合成、筋収縮、神経伝達、血圧調節など幅広い役割を担います。またカルシウムと相互作用して骨の構造を維持し、筋肉ではカルシウムが収縮に働くのに対しマグネシウムは弛緩に働くといった拮抗作用もあります。マグネシウムは電解質でもあり、心臓の正常なリズム維持や血管拡張作用も有しています。
不足による影響: マグネシウムが不足すると、多岐にわたる影響が現れます。初期症状として食欲不振、吐き気、倦怠感などがあり、進行すると筋肉の痙攣やこむら返り、手足の振戦(震え)など神経筋症状が出ます。重度の欠乏では不整脈や痙攣発作、人格変化(情緒不安定)など深刻な症状につながります。ただ、これらは通常急性かつ高度の欠乏時に見られるもので、慢性的な軽度不足では明確な症状は出にくいです。しかし近年、慢性的マグネシウム不足が高血圧、心疾患、2型糖尿病、骨粗鬆症など生活習慣病リスクを高める可能性が議論されています。例えばマグネシウム摂取量が少ない人ほど糖尿病になりやすいとか、心筋梗塞のリスクが上がるといった疫学データがあります。また便秘の原因の一つとしてマグネシウム不足が疑われることもあります(酸化マグネシウム製剤が下剤として用いられることからも裏付けられます)。
日本人における欠乏傾向: 日本人のマグネシウム推奨量は成人男性340~370mg/日、女性270~290mg/日ですが、平均摂取量はそれを下回っている可能性があります。近年の国民健康・栄養調査では、成人男性で平均300mg弱、女性で250mg弱との報告もあり、特に若年女性や高齢者で不足気味です。現代日本人に不足しがちな栄養素としてマグネシウムも挙げられており、ミネラル5種(カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、カリウム)の一つに数えられています。伝統的和食では穀物や野菜、海藻、大豆からある程度のMgを摂取できていましたが、精製食品(白米やパン)への依存や加工食品の増加により減少傾向にあります。例えば、玄米には白米の約5倍のマグネシウムが含まれます。かつて玄米や雑穀が一定量食べられていた時代に比べると、現代人は明らかにMg摂取が減っていると言えます。加えて、ファストフードやインスタント食品はMgに乏しく、こうしたものに偏る若者では特に不足が懸念されます。アルコール多飲もMg排泄を促進するため、飲酒習慣のある人は注意が必要です。マグネシウムは骨粗鬆症予防にも重要で、カルシウムとのバランス摂取が推奨されています。日本人女性高齢者ではMg摂取量の低さが骨密度低下と関連するとの指摘もあります。もっとも、Mg欠乏による明確な疾患(低マグネシウム血症を伴うもの)は少なく、多くはカルシウムやビタミンD不足と相まって骨健康に影響する程度と考えられます。全般に、カルシウムほどクローズアップされてはいませんが、日本人のミネラル摂取のウィークポイントの一つです。
過剰摂取のリスク: 食品由来のマグネシウムは腎臓で余分が排泄されるため、過剰症はほぼ問題になりません。ただし腎機能が低下している人では高マグネシウム血症(倦怠感、徐脈、血圧低下、筋力低下、重篤時は呼吸麻痺)が生じる可能性があります。サプリメントや医薬品での過剰摂取では下痢がよく見られます。酸化マグネシウムなど一部のマグネシウム塩は下剤として作用するため、耐容上限量は経口摂取の場合成人で350mg/日(サプリ由来のMgに対して)と設定されています。Mgはカルシウムと拮抗するため、過剰なMgは低カルシウム血症を招くこともあります。通常、サプリを適切用量で用いる限り安全ですが、腎障害がある場合はサプリ使用は避けるべきです。
食品と補給策: マグネシウムは種実類(アーモンド100gで約300mg)、大豆製品(絹ごし豆腐1丁300gで180mg、納豆1パックで50mg)、海藻(乾燥わかめ10gで150mg)、甲殻類(エビ100gで90mg)、緑黄色野菜(ほうれん草100gで69mg)などに多く含まれます。穀物では玄米ご飯1杯(150g)で約54mg、蕎麦100gで50mg程度含まれます。飲料では硬度の高いミネラルウォーターにMgが多く含まれるものがあります(いわゆる硬水)。日本の水道水は軟水でMgは少ないですが、海外の硬水には100mg/L以上含むものもあります。日常の食事では玄米や雑穀、全粒パンに置き換える、ナッツ類をおやつに食べる、味噌汁やスープに海藻や豆腐を入れるなどで増やせます。Mgは水に溶けやすいので、茹で野菜の場合は茹で汁ごと摂取する工夫が大切です。食事からの摂取が難しい場合、マグネシウムのサプリメントも選択肢です。iHerbでは酸化マグネシウム、クエン酸マグネシウム、グリシン酸マグネシウムなど様々な形態のMgサプリが売られています。製品によって1錠に含まれる元素Mg量が異なりますが、だいたい100~200mg程度のものが多いです。酸化マグネシウムは含有量は多いものの吸収率が低く下痢を起こしやすいので、サプリ用途ではクエン酸塩やグリシン酸塩の方が適しています。夜間の筋けいれん対策に就寝前に取る人もいますが、前述の耐容上限量を超えないように注意します。なお、Mgはカルシウムと2:1程度の比率で摂るのが望ましいとも言われています(諸説あり)。日本人の場合カルシウム不足もあり、Mg:Ca比が1:2より高くなることは少ないですが、Mgサプリのみ大量に摂ってカルシウムとのバランスを崩さないよう配慮することが望まれます。
カリウム(K)
必要性と働き: カリウムは主要な細胞内陽イオンであり、ナトリウムとともに浸透圧の調節、体液のpH維持、神経筋の興奮伝達に関与します。細胞内カリウム濃度が高く保たれることで細胞の浸透圧バランスが維持され、ナトリウムポンプの作用で電位勾配が生み出されます。これにより神経伝達や筋収縮がスムーズに行われます。また、腎臓でのナトリウム再吸収を抑制し排泄を促すことで血圧を下げる作用があります。十分なカリウム摂取は高血圧や脳卒中のリスク低減につながることが疫学研究で示されています。
不足による影響: 食事由来のカリウム不足で直ちに低カリウム血症になることは通常ありません。低カリウム血症(血清K<3.5mEq/L)は主に嘔吐・下痢や利尿薬の使用でカリウムが体外に過度に失われた場合に生じ、筋力低下、四肢麻痺、不整脈(重症では心停止)を招く危険な状態です。食事での慢性的摂取不足の場合、明確な症状は現れにくいものの、相対的なナトリウム過剰状態をもたらし、高血圧や脳卒中リスクが高まる可能性があります。実際、カリウム摂取量が少ない人ほど高血圧になりやすいことが知られています。世界的にはWHOが成人で少なくとも3,510mg/日のカリウム摂取を推奨しており、これはナトリウム摂取を考慮した勧告です。カリウム不足は心血管系への長期的悪影響や、塩分感受性の上昇をもたらす可能性があります。なお、極度の野菜嫌いなどでカリウム摂取がきわめて低い場合、体液量の調節に支障をきたしだるさや食欲低下を感じることもありえます。
日本人における欠乏傾向: 日本人のカリウムについては「目標量(下限値)」として成人男性2500mg/日以上、女性2000mg/日以上が定められています。しかし現状、これらの目標を達成できていない人が多いです。野菜や果物の摂取不足に加え、加工食品中心の食生活ではカリウム摂取量が伸びません。国民健康・栄養調査では成人の平均カリウム摂取量は男性で約2500mg、女性で約2200mgと報告されており、女性では目標に届いていません。特に20~40代女性や、高齢者で低めです。東京大学の調査でも、食物繊維やカリウムは目標量未達成の人が多い栄養素として挙げられています 。一方で日本人は塩分摂取が多く、ナトリウム対カリウム比が高いため、高血圧予防のためにもカリウム摂取増加が課題です。伝統的に野菜の多い和食ではカリウム摂取量も多かったのですが、近年は野菜摂取量が減り、かつ即席麺など加工食品が増えてカリウムが減る一方ナトリウムが増える傾向にあります。これが生活習慣病につながるとして、「野菜を1日350g以上食べましょう」といった啓発が行われています。カリウムは野菜や果物、豆類に多く含まれるため、これらの摂取不足の人が欠乏傾向にあります。なお、腎臓病などでカリウム制限を受けている人以外で、通常の食事でカリウムが過剰になることはほとんどありません。
過剰摂取のリスク: 健康な人では腎臓が余分なカリウムを排泄するため、食事でカリウムを多く摂っても問題は起きません。そのため一般人には耐容上限量も設定されていません。ただし、腎機能が低下している人や、特定の薬(ACE阻害薬、スピロノラクトンなど)を服用している人では高カリウム血症に陥る恐れがあります。高カリウム血症は致死的不整脈を招く重大な状態であり、腎不全患者では野菜や果物を制限するなど管理が必要です。また、サプリメント(塩化カリウム錠など)の過剰摂取は消化管への強い刺激や心臓への負担をもたらすため禁物です。通常の範囲で果物・野菜を多く食べることによる過剰症の心配は不要で、むしろ不足に注意すべきです。
食品と補給策: カリウムを豊富に含む食品には、**野菜類(ほうれん草1束で690mg、トマト1個で210mg、じゃがいも中1個で500mg)、果物類(バナナ1本で360mg、アボカド1個で700mg、みかん1個で140mg)、豆類(インゲン豆乾燥50gで1000mg)、芋類(さつまいも100gで540mg)**などがあります。海藻類も乾物重量当たりは多いですが、水で戻して食べる量はそれほど多くないため、主力はやはり野菜と果物です。果物では特にバナナやメロン、キウイ、柿などが知られます。飲料では野菜果汁100%ジュースにもカリウムが含まれます。牛乳もコップ1杯で約300mgと地味に貢献します。高血圧が気になる人は、意識的にこれら食品を摂り、ナトリウム摂取とのバランスを取ると良いでしょう(いわゆるDASH食が推奨されます)。調理ではカリウムは水に溶出するため、煮物の煮汁を捨てずにとろみをつけて食べる、汁物は汁も飲む、といった工夫が有効です。サプリメントとしてのカリウムは、一般向けにはあまりありません。iHerb等でも塩化カリウムなどのサプリはありますが、1錠あたり99mgなど少量に制限されています(大量に摂ると危険なため)。従って、カリウムは基本的に食品から摂るべき栄養素です。どうしても野菜果物が摂れない場合、野菜ジュースやトマトジュース、市販のポタージュスープに野菜ピューレを混ぜるなどで補ってください。ちなみに、スポーツドリンクにはカリウムが含まれていますが微量(数十mg程度)であり、あくまで電解質補給目的です。通常の栄養補給には役立たないので過信は禁物です。総じて、日本人は塩分多め・カリウム少なめの食事に陥りがちなので、意識して野菜果物を摂ることが高血圧予防や健康維持に直結します。
ナトリウム(食塩相当量)
必要性と働き: ナトリウムはカリウムと対をなす主要ミネラルで、細胞外液の主要陽イオンとして体液の浸透圧維持、体液量や血圧の調節、神経インパルスの伝達などに不可欠です。食塩(塩化ナトリウム)として摂取され、そのNa⁺が体内で種々の生理機能に関与します。腎臓のナトリウム調節メカニズム(レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系など)により血圧や血液量がコントロールされます。ナトリウムが不足すると低ナトリウム血症となり、食欲低下や倦怠感、重篤では痙攣や意識障害が発生します。ただ、通常は塩味に対する欲求があり、不足分を自然に補うため、食事由来で長期に不足するケースは極めて稀です。
不足による影響: ナトリウム欠乏症状としては、筋肉のけいれん、脱力感、嘔気、血圧低下、ショック状態などがあります。しかしこれらは通常、発汗による大量の塩分喪失や下痢嘔吐など急性の体液喪失時に見られるもので、慢性的な食事中ナトリウム不足で起こることはまずありません。むしろ現代人にとって問題となっているのはナトリウムの過剰摂取です。過剰摂取は高血圧を招き、ひいては脳卒中や心疾患、腎臓病のリスクを高めます。日本人は塩分摂取が多く、高血圧患者が多い要因となっています。伝統的食文化(塩蔵品や醤油・味噌の使用)ゆえでもありますが、現代の加工食品や外食も依然塩分が高めです。
日本人における摂取状況: 日本人のナトリウム摂取は、歴史的に見て多量でした。1970年代には1日当たり食塩15gを超えていましたが、国民運動などで減塩が進み、近年では平均摂取量は成人男性で約10g、女性で約9g程度まで減っています。しかしこれはWHO推奨(5g未満)や日本の目標量(成人男性7.5g未満、女性6.5g未満)を依然上回っています。東京大学の調査でも、男性88%以上・女性88%以上が食塩摂取過剰(目標上限超過)との結果が出ています。特に高齢男性や中年男性で摂取量が多い傾向です。地域的には東北地方など寒冷地で塩蔵品文化がある地域は伝統的に高く、逆に沖縄など南国は比較的低いと言われます。日本人の味覚として塩味嗜好が強いこと、加工食品に塩が多いこと(パンや麺類にも塩が含まれる)、外食産業で塩を効かせて美味しさを演出することなどが背景です。減塩醤油・減塩味噌の普及、加工食品の塩分表示義務化などで少しずつ改善しつつありますが、なお高血圧患者の割合は高く、減塩努力が求められます。
過剰摂取のリスクと対策: 塩分(ナトリウム)の過剰摂取は、高血圧~脳卒中リスクの増大のみならず、胃がんリスクも高めるとされています。塩分の刺激が胃粘膜を傷つけ発がんにつながる可能性が指摘されているためです。また、カルシウムの尿中排泄増加による骨粗鬆症リスク増大も示唆されています。腎臓への負担も大きくなり、慢性腎臓病の一因にもなります。したがって、現代日本ではナトリウムについては「如何に減らすか」がテーマです。食事上の対策としては、加工食品(ハム・ソーセージ、漬物、インスタント食品、スナック菓子など)を控える、外食では汁を残す・ドレッシングを控えめにする、卓上調味料(醤油・塩)はできるだけ使わない、素材の旨味や香辛料・酸味を活かして減塩する、などが挙げられます。家庭では減塩調味料を使ったり、出汁を効かせて薄味でも満足感を出す工夫が推奨されています。味覚は慣れるので、徐々に減塩を進めると薄味になれていきます。医療上は減塩が難しい場合、減塩食品や減塩サプリ(塩化ナトリウムの代わりに塩化カリウムを含む減塩塩など)の利用もありますが、腎臓病患者ではカリウム置換塩は使えないため要注意です。iHerbでは減塩のブイヨンや無塩スパイスブレンドなども手に入りますが、ナトリウムそのもののサプリメントはありません(通常必要ないため)。運動時の電解質補給としてスポーツドリンクなどでナトリウムを摂る場合も、日常摂取量が多い日本人では必要以上に塩分入り飲料を飲むのは控える方がよいでしょう。
不足時の対処: ナトリウム不足が問題となるのは、夏場の大量発汗時などです。熱中症対策では水だけでなく塩分(およびカリウム)の補給が大切とされています。塩飴や経口補水液などで1Lに1.2~3g程度の食塩を補うのが目安です。通常食事をとっていれば汗で失われた分も補充できますが、食欲がない時などは経口補水飲料を利用します。塩分補給は状況次第であり、一般的にはむしろ減塩を意識することが日本では重要です。
銅(Cu)
必要性と働き: 銅は鉄と並ぶ必須微量元素で、多くの酸化還元酵素の成分として生体内で重要な役割を果たします。代表例として、セルロプラスミン(鉄の輸送に関与)、スーパーオキシドジスムターゼSOD(活性酸素消去)、チロシナーゼ(メラニン合成)、リシルオキシダーゼ(コラーゲン・エラスチン架橋形成)などがあります。銅は鉄の利用やコラーゲンの成熟、色素形成、神経伝達物質合成(ドーパミンβ水酸化酵素)にも関与し、血液、骨、皮膚、神経と幅広い組織で必要とされます。
不足による影響: 銅欠乏は比較的稀ですが、長期の経腸栄養や高度の亜鉛過剰摂取など特殊な状況で起こりえます。不足すると鉄の利用障害による貧血(小児では成長障害も)、白血球減少、骨粗鬆症、メラニン減少による毛髪の色抜け(淡色化)などの症状が現れます。特に鉄代謝への影響は顕著で、鉄摂取が十分でも銅不足では鉄をヘモグロビンに組み込めず貧血になります。また動物実験では心血管系の異常(大動脈瘤など)も報告されています。ヒトではMenke病(先天性銅輸送異常症)という遺伝病で重篤な銅欠乏症が起こり、発育不全や神経障害、枕毛(ちぢれ毛)などの症候を呈しますが、これは特殊な例です。一般人で銅欠乏になるのは、長期間の不適切な食事(ほぼミルクのみ等)や極端なサプリ過剰(亜鉛の過剰補給で銅吸収が阻害される)くらいです。
日本人における欠乏傾向: 日本人の銅推奨量は成人男性0.9mg/日、女性0.7mg/日とされています。通常の食生活でこの程度は容易に摂取できます。銅は多くの食品に微量ながら含まれ、特に多いのはレバーや甲殻類、ナッツ類、ココアなどです。国民健康・栄養調査でも、銅摂取量は推奨量を満たすどころか上回る人が多く、むしろ過剰に注意すべきくらいです 。東京大学の調査でも、銅が推定平均必要量を下回る人の割合は全ての性・年齢階層で10%未満だったと報告され、不足者は少ない栄養素とされています。日本食では穀類や野菜、魚介など幅広く食べるため、銅欠乏は現れにくいのです。逆に銅は水道管由来で水にも溶出することがあり、水道水からの摂取も期待できます。総合的に、日本人の銅栄養状態は概ね良好で、普通に食べていれば欠乏を心配する必要はほぼありません。
過剰摂取のリスク: 銅の耐容上限量は成人で9mg/日と設定されています。食品から9mgを超えることは通常ありませんが、銅製の鍋で調理した酸性食品を大量に摂取すると中毒する可能性があります。急性銅中毒では嘔吐、下痢、肝臓障害を起こします。慢性過剰では肝硬変などにつながります(ウィルソン病が典型例)。通常のマルチミネラルサプリに含まれる1~2mg程度の銅は問題ありませんが、単独で高用量の銅サプリを摂る必要はありません。亜鉛サプリを長期間大量に摂っている場合、二次的に銅欠乏をきたす恐れがあるため、適宜銅も補うか亜鉛量を調整します。
食品と補給策: 銅はレバー(豚レバー100gで約0.9mg、鶏レバー100gで約0.5mg)、魚介類(イカ100gで0.9mg、エビ100gで0.7mg、牡蠣100gで約2mgと非常に多い)、ナッツ(カシューナッツ50gで0.5mg)、チョコレート(純ココア大さじ1杯で0.4mg)などに豊富です。穀類では玄米100gで0.24mg、全粒小麦粉100gで0.4mg程度、豆類では大豆100gで0.5mg含まれます。普通にいろいろな食品を食べていれば不足しません。銅が欠乏するような特殊なケース(長期高亜鉛補給など)では医療的に補充しますが、一般には銅サプリ単体を使う必要性はほぼありません。iHerbでも銅サプリメント(グルコン酸銅など)は売られていますが、基本的にはマルチミネラル製品に含まれる程度で十分です。まとめると、日本人にとって銅はあまり懸念のない栄養素ですが、他の栄養素との兼ね合い(特に亜鉛)でバランスよく摂取することが大切です。
セレン(Se)
必要性と働き: セレン(硒)は微量必須元素で、抗酸化酵素であるグルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)やチオレドキシンリダクターゼの構成成分として、細胞を酸化障害から守ります。また、甲状腺ホルモンの活性化(T4からT3への変換)にも関与する重要な役割があります。男性の精液中にも多く含まれ、精子の成熟や運動にも寄与しているとされます。セレンは土壌中の含有量に地域差が大きく、それが植物や畜産物の含有量に影響します。日本は土壌セレンが比較的豊富な地域が多く、住民のセレン摂取量は適正範囲にあります。
不足による影響: セレン欠乏は土壌セレンが極端に低い一部地域で発生することがあります。中国の一部で見られた克山病(Keshan病)はセレン欠乏と関係する風土病で、若年女性に特発性の心筋症(心不全)が発生しました。また、大興安嶺疾患という軟骨変性症もセレン不足が関与しています。ヒトでの一般的なセレン欠乏症状としては、免疫機能低下、疲労、筋力低下、甲状腺機能低下(セレンは甲状腺機能維持にも重要)などが考えられていますが、通常の食事で欠乏状態になることはまれです。むしろ、ブラジルナッツの過剰摂取などでセレン過剰症(爪や毛髪の異常、消化器症状)が問題になることの方があるくらいです。日本では人工栄養(中心静脈栄養)でセレンを補充しておらず長期に及んだ患者において、心筋症状などが起きた例があるものの、通常食生活では欠乏は知られていません。
日本人における欠乏傾向: 日本人のセレン推奨量は成人男性30µg/日、女性25µg/日と設定されています。国民の平均摂取量はこの推奨量を上回っており、およそ平均60~90µg/日程度摂取されていると推定されています。魚介類や海藻に富む日本の食文化はセレン摂取に寄与しています。日本近海の魚介にはセレンが多く含まれており、日本人のセレン摂取の9割以上は魚介類由来のセレン(セレノメチオニン等)であるとの報告もあります。日本人のセレン栄養状態は良好で、不足による健康問題は知られていません。したがって一般人にはセレン欠乏を心配する必要はなく、普通に魚や肉、大豆などを食べていれば推奨量は確実に満たせます。特定の地域差もなく、日本全国でおおむね十分です。むしろセレンは摂り過ぎに注意する元素でもあります。日本ではセレンの強化食品などはほぼありませんが、海外ではサプリメントがあり過剰摂取例もあるため、日本人も海外製サプリを個人輸入等で用いる際は用量に気を付ける必要があります。
過剰摂取のリスク: セレンは過剰症(セレノーシス)に注意が必要です。症状としては、脱毛、爪の変形、皮膚炎、歯の変色・脱落、末梢神経障害などが報告されています。耐容上限量は成人で250µg/日と設定されています。普通の食事ではそこまで達しませんが、ブラジルナッツは1粒に50µg近いセレンを含むため、食べ過ぎると上限を超えます。アメリカでは過剰なセレン強化サプリによる中毒事件も起きています。日本で食品から摂る分には心配いりませんが、セレンサプリメントの多量摂取は避けるべきです。
食品と補給策: セレンは**魚介類(マグロ100gで約70µg、カツオ100gで約70µg、イワシ100gで約40µg)、肉類(牛肉100gで約10µg、鶏肉100gで約15µg)、卵1個で約15µg、玄米100gで約15µg、海藻類(焼き海苔10gで約20µg)**などに含まれます。特に魚介に多いため、魚中心の食事をしている人はセレンが多めになる傾向です。とはいえ、海産物をよく食べる日本人でもセレン中毒の例は無く、適度な範囲に収まっています。セレン欠乏を防ぐための特別な対策は不要で、バランスの良い食事を心がけるのみです。iHerbではセレンのサプリメント(セレノメチオニン等)も売られていますが、日本人には基本不要です。医療上、透析患者など酸化ストレスが強い場合に抗酸化目的でセレンを補うケースもありますが、一般には推奨されません。まとめると、セレンは通常の日本食に含まれる量で十分であり、不足に神経質になる必要はありません。過剰症のリスクを踏まえ、むやみにサプリで高用量を摂るのは控えましょう。
マンガン(Mn)
必要性と働き: マンガンは複数の酵素(アルギナーゼ、ピルビン酸カルボキシラーゼ、SOD2など)の補因子として機能する微量元素です。骨の発育、糖質・脂質代謝、抗酸化作用(ミトコンドリアSOD)、神経伝達物質合成などに関与するとされています。マンガンは骨に多く含まれ、軟骨の形成(グリコサミノグリカン合成)にも必要です。マンガン欠乏症は自然条件下ではほとんど起きませんが、動物実験では成長障害や生殖障害が起こったことが報告されています。
不足による影響: 人でのマンガン欠乏に関する症例はほぼ見られません。理論的には、骨の形成不全、軟骨異常(関節の変形)、脂質代謝異常による体重減少、発疹、コレステロール低下などが考えられますが、日常生活で不足に陥ることは極めて稀です。食事中に幅広く含まれており、また必要量も少ないためです。一方、マンガンは過剰摂取(主に吸入暴露、例:マンガン鉱山労働者)による毒性の方が問題で、マンガン脳症(パーキンソン症候群様の神経症状)を引き起こすことが知られています。
日本人における摂取状況: 食事摂取基準2020ではマンガンの目安量が成人男性4.0mg/日、女性3.5mg/日とされています。日本人のマンガン摂取量は平均的にこの範囲に収まっていると考えられます。マンガンは穀類(特に全粒)、豆類、種実類、茶などに豊富です。日本人は日常的にお茶を飲む習慣があり、茶からのマンガン摂取がかなり寄与しています。例えば緑茶100mLに0.1~0.2mgのマンガンが溶出しますので、数杯飲めばかなりの量になります。米も精白していても多少含みますし、海藻や香辛料にも含まれます。平均摂取量の詳細データは少ないですが、欠乏症が問題になったことがないことから、通常不足していないと考えられます。東京大学の調査でも、マンガンについて特記される問題はなく、摂取過不足の話題に上がっていません(重要栄養素に比べ検討対象外)。ゆえに、日本人一般にマンガン欠乏は心配無用と言えます。
過剰摂取のリスク: 食品からのマンガンでは過剰症はほぼ起こりません。耐容上限量は成人で11mg/日と定められていますが、通常の食事ではここまで到達しません。ただしサプリメント等で過剰に摂取すると(例えば20~30mg/日を継続など)、神経毒性が懸念されます。具体的には運動障害や気分の変調など。マンガンは脳に蓄積しやすく、一度蓄積すると排泄が遅いので過剰には注意が必要です。工業的にはマンガン鉱粉の吸入が問題となりますが、日常ではマンガン単独サプリの過剰摂取ぐらいしかリスク要因はありません。
食品と補給策: マンガンは玄米100gで1.1mg、オートミール100gで2.8mg、全粒小麦粉100gで3.3mgなど全粒穀物に多いです。大豆100gで2.1mg、納豆1パックで0.5mg、ごま大さじ1で0.3mg、アーモンド10粒で0.6mg。また緑茶(茶葉5g抽出)で0.3mg程度摂取できます。これらを考えると、和食中心でお茶をよく飲む人は4~5mgくらい簡単に到達するでしょう。マンガンはサプリで補う必要性がほとんどなく、マルチミネラルに含有される程度で十分です。iHerbでもマンガンのサプリはありますが、一般的ではありません。過剰摂取のリスクを踏まえ、安易に高用量サプリを取らない方が賢明です。総じて、マンガンは普通の食生活で不足しにくい微量元素であり、日本では意識する必要度は高くありません。
研究著者
この詳細リサーチは、以下の3名による共同プロジェクトの一環として、2025年2月に作成されました。
- 佐伯 健二(さえき けんじ)
- 小野寺 楓(おのでら かえで)
- 宮本 塔子(みやもと とうこ)
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」および国民健康・栄養調査結果
- 東京大学プレスリリース「日本人の栄養素摂取量は適切か」(2023)
- 株式会社明治 プレスリリース「現代日本の食生活において不足しがちな栄養素…」(2023)
- オーソモレキュラー医学会「東京都民の98%がビタミンD不足」(2023)
- 長野県医師会「若い女性の鉄欠乏性貧血」(2022)
- 京都大学研究ニュース「亜鉛欠乏症のメカニズム解明」(2018)
- その他、健康長寿ネット、e-ヘルスネット、食品成分表2020などから適宜引用.